
今回は、対話法を利用してソフィストたちを論破したソクラテスについてまとめました。
民衆の幸福を考えたソクラテスの哲学について紹介します!
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ソクラテスの哲学
ソフィストと呼ばれる詭弁家たちが衆愚政治をおこなっていたギリシャの社会を、なんとかまともなものに変えていきたいと考え、対話法を手段として活躍した人物がいました。
その人物の名前をソクラテスと言いました。
ソクラテスは「人間が持っている知識を最大限に活用すること。」をアレテー(徳)と呼んでいます。
つまり「人間の長所は知識を活かして正しい行動をすることである。」と述べたのです。
しかしその当時のソフィストたちは、莫大な知識を活かして、お金儲けをしていただけでした。
ソクラテスはソフィストたちの行動を「福徳一致」とは言いませんでした。
なぜなら彼らは長所を活かしても、民衆を幸福にしてはいないと考えたからです。むしろ不幸にしていると思っていたのです。全ての人間の行動は人間を幸福にするためにあるはずなのに、ソフィストたちは自分たちの利益になることしかおこなっていない。
つまり「行動と幸福が一致していないではないか。」と指摘したのです。確かにソフィストたちは詭弁を使って雄弁に語り、もっともらしいことを教えていました。しかし結果として衆愚政治になるということは、ソフィストたちが民衆を不幸にしていると考えたのです。
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ソクラテスが用いた「対話法」
そしてソクラテスは彼らの欺瞞を明らかにするために、対話法を使って「無知の知」に気づかせようとしました。
その当時のギリシャの社会では相対主義と呼ばれるものが浸透していました。「この世の中に絶対的な真理などあるわけがない。人間はそれぞれに異なる感性があり、都合があるのだから。」という考え方が蔓延してしまっていたのです。
だからといってソクラテスは、大勢の民衆の前で演説をして啓蒙するような方法は用いませんでした。ソフィストたちに、「正しいこと」とは何ですか?と素朴な疑問を投げかけていったのです。
そしてソフィストたちが「それは幸福になることだ。」と答えると、今度は、「幸福であることとは何ですか?」とソクラテスはさらに疑問を投げかけていくのです。
そのような問答を繰り返していくうちに、ソフィストたちの発言は徐々に自己矛盾を起こし、何も答えられなくなっていきました。
最後にソクラテスは、「あなたたちは何も知らないのですね。」と言って相手の理解を促そうとしたのです。
ソフィストたちが悪い行為をするのは、「善」に関する知識がないからだとソクラテスは考えていました。そして彼らが正しい知識を持つためには、「善」の本質に気づかされなければならないと思っていました。それを実行するための手段として、ソクラテスは対話法を用いたのです。
そして正しい知識を得た人間は、自然に「善」を実行しようとするだろうと考えました。それを「知行同一」と説きました。さらに正しい知識を活用すれば、不正をして魂を傷つけることもないという「魂への配慮」も説いたのです。
ソクラテスは死刑を宣告される
しかしソクラテスによって「無知」を暴かれてしまったソフィストたちは、彼を裁判にかけます。そしてソクラテスは死刑を宣告されます。
その罪状は「民衆に害悪を及ぼした罪」というものでした。ソクラテスは最後まで自分の信念を曲げることなく、自ら毒を飲んで生命を絶ちました。このように考えてみると、ソクラテスは何か特別で立派な哲学を説いたわけではありません。ただ自分は「真理について何も知らない。」と言っただけなのです。知らないからこそ追求していきたいと言っただけなのです。そして自分では著書も残していません。
ソクラテスの取った行動は、プラトンを代表とする弟子たちが著書で述べていることから想像するしか方法はありません。プラトンは心の底からソクラテスを尊敬していたため、ソフィストたちを論破したゴッドのような書き方がされているのです。
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